吐き出した胸のうちは
未来へ繋ぐ気持ちと約束と。
現実の不安と、一緒くたに
なってしまった。
黙って一言一言を聞いてくれる
琴子の繋がれた指の温もりは
いつだって、優しくて。
俺を包み込んでくれて。
黙って、話を聞いていた彼女が
笑みを浮かべ、返してくれる。
「晴紀さん。
私たちらしく、進んでいこう。
焦らないで、一緒に、行こう。
この届け出も、カタログも
その道中で使えばいいよ。
それが、今日だか、その先だか
ヒトによって、アイテムを使う
タイミングが違うだけだもの。
先ずは、お互いを、もっと
解り合うことから、ね?」
その言葉は、実は、ビビりで
不器用な素顔を持つ俺の心を
どんなに軽くしてくれたのか
彼女は、自覚しているだろうか。
誰よりも、
俺を癒してくれたのは
『琴子』君なんだよ?
傍で笑っていてくれるだけで
癒されて、優しくなれる。
君を守らなきゃって、
俺を強くしてくれる。
前向なオトコにしてくれる。
そうだな。
琴子の言う通り、
一緒に、生きて行こう。
二人のペースで。
疲れたり、苦境がきても
お互い支え合えるから、
きっと俺達なら、大丈夫。
うまく、やっていけるよね。
「琴子、これからも、
ヨロシクね。」
彼女は、もちろんって、言って
ニッコリ笑う。
この笑顔が、
俺の
最高の
『甘いクスリ』
【FIN】



