甘いクスリ


 
『ほぉ〜?この、愚か者が。
御主、婚姻の取り交わしも無く
ヒト様宅のお嬢様を
連れ込んでいるのか?』


げっ・・・


痛いトコロをつつきやがる。

「つーか、一体いつの時代の
人間だよ
大体、今まで黙認だった
じゃねぇか。」

悔し紛れにブツクサ言えば

『ああ、今までのは事故かつ
示談成立ってところだろう。
オマエの場合。』


・・・・真剣なのだって
あったもん・・・多分・・・



最初の方は・・・



いや、最初だけ、だっか?



これは、二回目。


今度こそ、大事にしたい関係で
守りぬきたい子


だからーーーーー


『琴子ちゃんは、
大事にしなきゃ、な。』


短くまとめられた
その言葉に、
俺も、短く応えて
電話を切った。


だって、

言葉をーーーーー
気持ちをーーーー


紡ぐべき相手は
隣で微笑み、俺の目元を
指で拭ってくれる
彼女だから。





今から、言おう。





一緒に生きていこうって。




この先、ずっと
一緒に進もうって。








「琴子。聞いて?」