甘いクスリ

 

「有効だけど、べつに
七海が動く事もないよ。」

そういって彼女は笑う。


「心配しなくても
琴子さんは、先生の事、
好きだよ。

昨日の音合わせの時、
そんな気がしたんだ。

そうじゃなきゃ、先生なんて
泊めたりしないよ。

透っちもねぇ。気づいて色々
探りいれたらしいからさっ
楽しみだよねぇ

去年は『樹里』が
(↑真月のモノ真似で呼ぶのは
止めてくれ。似過ぎてる)
笑わしてくれたかんねっ

先生、今年も期待してるよっ」

彼女は楽しそうに言った。


いや、ダメだから

俺、サラリーマンだもん。

おまえ達に、埃程度だって
ネタなんざ、提供するかっ!


「そういや、七海
何しにきたの?」


不意に、思い出した。

何故、七海がいるんだろう。