白のアリア

猫はふんっと私を見て
またベランダのほうを向いてしまう。




「…え、えっと。猫くんは何しに来たの?」




「猫ではないっ。
シェル・ラターニアだ!!


少し様子を伺いに来たのだ。
夢片鱗が覚醒を迎えたと聞いたからな」




「…様子…」




シェルは毛づくろいしながら言った。




「夢様直々の任務でもある。


我が名を借りし者が
どんなものであるのか、気にかけておられるのだ」





「え!?
…色羽の夢鳥が、私に…?」




シェルはうなずいた。




「そうだ。

しかし今、あの方は深い眠りについておられる。
ゆえに安易に外に出るとなれば危険だ。


よって魔力を通じて我が意識を受け取り、
代わりに参ったというわけだ」




「…深い、眠り…」




それは、あの絵本の物語が
現実にあったということ、だろうか。




力を使い果たし、
永い眠りにつかねばならないほど。



世界は、闇に染まっていたということなんだろうか。





「…しかし、何度も言うが
本当に夢片鱗なのか?


夢様の言うことだから仕方ないが
少女が対象であれば疑いたくもなろう」




…また悪口。
そりゃこんな子が、とか何度も言われたけどさ。



ここまで言われると、さすがにへコむよ…。




…そんなに私って、特徴ないのかな。