「奥方さま。」 聞き慣れぬ侍女の声がしました。 今は人払いがしてあって近くに侍女はいません。 それに、私が人払いをしているということが次の間にいる侍女から伝わっているはずです。 それでも私に目通りを願うということは急ぎの用向きなのでしょう。 「入りなさい。」 私が一声かけると中年くらいの侍女が襖をあけて入ってきました。 「いかがした。」 「はい…。 先程伝わった話にございますが、羽柴秀吉さま…いえ、豊臣秀吉さまの臣下に降ると、大殿が。」