紅芳記


「奥方さま、改めてお祝い申し上げます!
あのじゃじゃ馬な稲姫さまが徳川の姫さまとなり、真田の奥方さまとなったこと、私嬉しくて…!」

ふじは今にも泣き出しそうです。

「ありがとう。
しかし…、ふじ。
私はじゃじゃ馬ではありませぬ。」

「まぁ!
若様とともに武芸の稽古をし、馬に乗り、挙げ句の果てには城を抜け出す姫のどこがじゃじゃ馬でないのでしょう?」

ふじのこの言葉で、周りの侍女たちまで笑い出してしまいました。