紅芳記


ドキ、ドキ、ドキ……

心の臓の音が先程より大きくなっています。

信幸さまに聞こえてしまいますわ。

恥ずかしいというか何と言うか……。

私は、信幸さまを見上げました。

「まぁ……。」

信幸さまのお顔も、真っ赤なのです。

「あ、あまりじろじろと見ないでくれぬか。
わしとて、照れる………。」

そう言うと信幸さまのお顔は更に赤くなり、それを隠すかのように強く抱きしめられました。

あら…。

ドキ、ドキ、ドキ………。

これは…。

信幸さまの、心の臓の音?

私と同じくらい、早い………。

私は信幸さまの胸に耳を当て、その心地好い音を聞いていました。