紅芳記


私は突然のことで、全く頭がついていかず、固まってしまいました。

信幸さまはゆっくりと私から離れていきます。

そして柔らかく微笑まれ、

「目くらい、閉じてくれぬかのぅ。」

と、言いました。

私は顔を真っ赤にして俯きました。

ドキドキと、心臓の音が煩い。

体中が熱くてたまりません。

そんな私を、信幸さまは優しく抱きしめてくださいました。