紅芳記


父上が出陣してから少し日が立ちました。

「母上!」

「稲姫、どうしたのです。」

私は息を切らしながら義母上のもとに走って行きました。

私は父上の第一子のため側室のまことの母上ではなく正室の義母上に育てられておりました。

「先程、早馬がきて…。
徳川の軍は撤退したと…!」

「まぁ…!
真田はせいぜい2000…。
徳川は2万というに…。」

「中で、真田信之殿と申す方は、たった300ほどで徳川の主力と合間みえたそうにございます!」

「たったの300で…?」