もし、世都の言っていた噂が真実だとすれば、関東に繋がる要所に位置する沼田城は、ただでは済まない事でしょう。
何せ、北国街道や中山道と言った街道沿いに位置しており、そうした立地を理由に、かつて私が輿入れする原因となった、内府様と真田家との戦があった程ですから。
例えば、内府様への援軍や、逆に背後から内府様を攻撃するための遊軍、或いは第三の勢力が、この城を通る可能性があるのでございます。
殿もこのような胸騒ぎを感じ、私にこの城をお預けになったのでしょうか。
それとも、こうなる事まで予想して、京の御前様のみを上方に残し、早々に私を国許に送り返した…?
我が殿ながら、どれ程先を読んでいらっしゃるのかと、恐ろしくなります。
私も殿に恥じない働きをしなくては。
「仲橋、場内の様子は逐一、私に知らせよ。
それと、主だった家臣を集めてくれ。」
「承知いたしました。」
動ける者の多くは、殿達と城を出ております。
城に残っているのは、僅かな手勢と、女子供、それに百姓。
籠城を避れられれば良いのですが、備えはしておかなくては。
私は家臣達に、万一に備えての土木作業と、兵糧を充分にしておくように命じました。
そして城外の視察の為に馬を用意させ、数名の護衛を連れて、密かに城を出ました。


