夜が更けて、普段なら誰もが寝静まっている時間に、殿達の会議は終わりました。
私と昌親殿がまだ起きていると伝えると、すぐに呼ばれて、私達は二人で殿の下に参上しました。
燭台の明かりだけが灯る薄暗い部屋の中に入り、襖を閉じます。
「お前達が起きていてよかった。
今、信勝を呼んでいる所じゃ。
皆が揃ったら話そう。」
大殿が重々しく仰います。
程なくして信勝殿も来て、会議の結果を伝えられました。
「此度、我ら真田家は、
…徳川に味方して、会津に向かおうと思う。」
しん、と静まっていた空気に、ピンと張り詰めたものが走りました。
「源三郎は迷わず出陣を決意したがな。」
「当然です。
内府様は我が義理の父に当たりますゆえ。」
殿が力強く言いました。
「うむ、それはわかっておったこと。
問題は豊臣恩顧の大谷殿の御息女である利世を妻とした、源次郎がいた事。」
そう、私と殿は、ここ数年徳川家に近しい関係を築いて来ました。
一方、源次郎殿達は、大谷様やその親友の石田様と御親交を深めていた。
石田様と内府様の対立関係は、今は誰もが知る事。
そして、先日、慶次様がお見せくださった、直江山城守様の書状。
結論は、そう簡単には出なかったと、想像に容易いことでございます。
「だが、大谷殿が会津攻めに加わるという情報を得た。
しからば、我らも出陣をしても何も後ろめたい事はない。」
佐助が大殿に伝えた情報とは、この事だったのでしょう。
そこで、出陣を決意なされた。
私と昌親殿、信勝殿の三人は覚悟を決めて、承知しました、と頭を下げました。


