城に到着して早々に家臣や侍女に懐妊の祝いの口上を聞き、それから久しぶりの自室に戻りました。
それからお夢殿に源之助を一時お預けし、まんとまさに昼寝をさせます。
長い道中、幼児の身ではさぞ疲れたことでしょう。
とはいえ、まんは物心ついてより初めての旅でございました故、四六時中はしゃいでおりましたせいもございましょうが。
「小松、戻ったか。」
二人の娘がちょうど眠りに落ちた時、殿がいらっしゃいました。
「はい。ご挨拶が遅れ申し訳ございません。」
「いや、良い。
矢沢より事の次第は聞き及んでおる故な。
それにしても、二人ともよう寝ておるわ。」
「ええ。
特にまんは道中ずっとはしゃいでおりましたゆえ、疲れたのでございましょう。」
「ははは。
まんらしいのう。」
殿は笑ってまんの頭を撫でられました。
「殿、此度の噴火の被害は如何程にございましたか?」
「ああ、幸いにも大事には至らなかった。
今年は田畑が多少やられてしもうたが、来年にはまた収穫出来よう。」
「それは、ようございました。」
「うむ。しかしまあ、なんじゃ。
久しぶりの我が家故な、暫くはゆるりとしようではないか。
子が生まれるのが楽しみじゃ。」
「左様にございますね。
此の所いろいろなことがございました。この子が生まれるまではのんびりと致しましょう。」


