紅芳記


その日の夜まで、殿は変わらず上機嫌でいらっしゃいました。

「今日は実に良い日じゃ。此れ程楽しいのはいつ振りか。」

「本当に、童のようなご様子ですこと。羽目を外し過ぎではございませぬか?」

「ははは。そのようなことはないぞ!何もかも忘れて、日がな一日のんびりとするのも悪くないのう。」

殿はそう言うと、少しだけ顔を伏せられました。

このところ、気を使うお勤めばかりでずっと気を張っていらしたのでしょう。

私は殿にそっと寄り添って、この日はそのまま二人で休みました。