日が沈み、殿と共に寝屋におります。
早速、ふじがと話していた事について殿にご提案してみました。
「殿、久方ぶりに遠乗りにでも参りませぬか?
此処暫く、ご心労が溜まっておいでで
ございましょう。
馬に乗って気晴らしなられては如何にございましょうや。」
すると殿は
「それは妙案。
久しく馬には乗っておらなんだからの、身体が鈍っておったところじゃ。」
と笑顔でお返事くださいました。
「無論、そなたも参るであろ?」
「ええ、行かせて頂きとう存じます。」
「いづくへ行くかの。」
「しからば、私堺に行ってみとうございます。」
「堺か…。
確かに、あそこは太閤殿下のご威光で栄えた最たる港じゃ。
面白きものがたんとあるじゃろう。
よし!
堺に参るぞ!」
「はい!
楽しみにしております。」
その日は、明日が楽しみでなかなか寝付くことができませんでした。