紅芳記


大坂について、三日。

私達は、徳川屋敷を訪れておりました。

徳川屋敷に来るのは、あの家出の時以来でございました。

と言っても、あの時は京屋敷で、今は大坂屋敷ではありますが。

前々からお訪ねする由を伝えていたため、直ぐに広間へ通されました。

そこには、お若い方がいらっしゃいました。

はて、誰かの面影が…。

そのお方は、ふっと笑われ、

「お久しぶりにございますな、義姉上。」

と仰せになりました。

あ、ねうえ…。

まさか、この方は…。

「竹千代様…?」

「あ、覚えていてくださいましたか。」

「もちろんにございます!」

竹千代様は、徳川家の養女として浜松城で過ごしたわずかな間、色々な話をしました。

徳川家の、ご嫡男でございます。