紅芳記


とにかく、いたく御立腹の大殿は、一体如何なされたのでございましょうや。

「あのもの、もはや国のことなど二の次と見たり。
秀頼様さえおれば、それでよく、此度の朝鮮出兵も、秀頼様の領地拡大のため、それのみ!
多くの血を流し、前線におるもののことなどまるで考えておらぬ!」

「まさか、太閤様にそのような…」

京の御前様は、信じられないというお顔をされています。

無理もございませぬ。

あれだけ、皆に慕われていらっしゃった太閤様が、考えも無く朝鮮に戦など…。

しかし、一抹の不安は大きくなるばかりにございました。