紅芳記


慶長二年の、正月。

「う、ああぁ──!」

私は、予定の月よりも早く、出産を迎えておりました。

「奥方様!
おしっかり!!
もう少し、もう少しにござりまするっ!!」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

懐妊が発覚したのが葉月。

その三月前に懐妊したとして、通常なれば如月か弥生が生まれ月のはずなのではございますが。

予想だにしなかった早産に、屋敷の中は大騒ぎとなっています。

産小屋を早めに造っていた事が、唯一の救いでございました。

「義姉上!
もう一息にございます!!」

利世殿も、ずっと側で励ましてくださっています。

二度目は初産よりもかかる時間が短いそうなので、きっともうすぐ生まれてくるでしょう。

「さあ、奥方様!!
いきんで!!」

産婆の声にあわせて、いきみます。

そして、ついに──。

「オギャア──!!
オギャア──!!」