紅芳記


文月の暮れ、世都から書簡が届きました。

その内容は、京の三条河原にて、不穏なる動きがあるとの事にございました。

三条河原は、しばしば処刑に使われる場にございます。

まさか、とは思いますが…。

私のこの不安が、当たらぬ事を祈るばかりにございました。

「義姉上、よろしゅうございましょうか。」

外から声がし、返事を致しますと、利世殿が入っていらっしゃいました。

「義姉上、私…。
何故かはわかりませぬが、胸騒ぎがして…」

「それは私も同じでございます。
何も、起こらぬと良いのですが。」

されど、そうはいかないのが現実なのでございます。

何故、私の不安はこうも当たるのかと、心底嫌になりまする。