紅芳記


清姫の部屋に着くと、清姫は既に褥に横になっておいでにございました。

その枕元に、源次郎殿が心配そうに座っておいででございます。

源次郎殿のお隣りに、殿が腰を下ろされました。

「清姫には、辛き事を知られてしまったな。」

「兄上…。
……いつかは、知らねばならぬ事にございます故。」

「…そうじゃな。
不憫と申さばそれまでじゃが、源次郎、この姫にひと時でも安心させてやるのじゃぞ。」

「は。」

私と利世殿も、それぞれ腰を下ろし、清姫の部屋で大殿のお帰りを待つことと致しました。