その後、生まれた若君は源之助、と名付けられました。

そして、なんとその子は夢の御方様の許を離れ、私に預けられました。

私ははじめこそ断りはしたものの、殿をはじめとする家臣たちたっての頼みと聞いて、お受けいたしました。

夢の御方様も、この子を世継ぎとするならば、とお子を手放されたのです。

その御覚悟は、どれ程のものであったでしょう。

子の養育は正室が、というのが世の習いとはいえ、子から引き離される辛さは、まんを産んだ私にもわかるのです。

私の母も、私を義母上に預ける時、そのような思いをしたのでしょうか。

いろいろ思うところはございましたが、源之助を見た途端、そのようなことが吹き飛ぶように感じました。

やはり、殿のお子は殿のお子。

愛おしいのです。

この子は、きっと私が立派な武士にしよう。

源之助を抱きながら、一人、そう誓うのでした。