紅芳記


もう、どれくらいこうしていたでしょうか。

日はとっくに高く昇り、それでもまだ産まれないといいます。

もはや、お腹は痛いだけでは言い表せないほど、痛い。

「あっ…!
あああっ!!」

自然と悲鳴のような声が出てしまいます。

「奥方様!!
おしかっかり!!!」

侍女たちの声も、もう届きません。

痛い、痛い、痛い…!」

「ま、まだ、産まれぬのか…」

息も絶え絶えで、産婆に問います。

産婆は私の腰を必死で摩りながら、

「あと少しでございます!!」

と叫ぶように言いました。

もう、無理よ…!

「奥方様、気をしっかりとお持ちください!!
さあ、いきんで!!!」

産婆の声で、わけもわからぬままいきみました。

「う、あああ!!」

「もう一度!!」

もう一度、力一杯いきみました。

それでも、まだ産まれてはくれません。

「頭が見えましたぞ!!
さあ、奥方様、もう一度いきんで!!!」

「はぁっ…。
はぁっ、はぁ…!
…う゛っ!!!」

もう一度いきみ、もう無理だと思ったその時。

体から、するりと力が抜けました。

「オギャア、オギャア、オギャア!!」

それと同時に、赤子の元気な声が聞こえました。

産ま、れた?