紅芳記


「失礼つかまつります。
奥方様、あまり夜風にあたられるのは良うごさいませぬ。
そろそろお休みになったほうが…。
って、お、奥方様!?」

ちょうどよく、ふじが来てくれました。

よかった…!

「如何なされましたか!?」

「ふじ、子が…。」

「御子が?
では、もしや!?」

「そうじゃ、産まれるようなのじゃ。」

「何と…!
人を呼んで参ります!!
お辛いでしょうが、いましばしお待ちを!
子はすぐには産まれませぬ。」

ふじはそういうと、私の体を支えて出産のための用意の整えられた部屋に連れていってくれ、私を坐らせるとすぐに産婆や侍女を呼びに行ってくれました。

ふじが行ってしまい、一人で痛みに堪えていると、パタパタと慌ただしい足音が聞こえてきました。

「奥方様!!」

侍女が私の所まで駆け寄ってきて、お腹や腰を摩ってくれます。

それだけでも、幾分ましに思えるのでした。

「奥方様、私におつかまりくださいませ。
私が奥方様のお体を支えますゆえ!」

一人の体の大きな侍女がそう言い、私はその侍女にしがみつくような体制になりました。

産むときには、そのような体制でと産婆に言われておりました。

「さあ、頑張ってください!」

その侍女が頼もしい声で何度も励ましてくれます。