紅芳記


夕暮れ時になり、雨が止んで参りました。

「奥方様、お客様がお帰りとのことにございます。」

「そうか、ふじ、大儀であった。」

「はい。」

源次郎殿と利世殿は如何となったでしょうか。

私は客間に再び向かいました。

「お帰りとお聞きいたしました。」

「はい、心より御礼申し上げまする。」

「困った時はお互い様にござりますれば、なんのお構いもできませんで…」

「いえ。
では、私はこれにて失礼致します。」

「また、いつでもいらして下さいませ。」

「はい、そう致しましょう。
しかし…その前に家族となってしまうやも知れませぬが…。」

「家族…。
では…!」

「ええ。
源次郎様とお話して、決心することができました。」

「それはようございました。
嬉しゅうございますわ。」

私がにっこり微笑むと、利世殿も微笑まれ、そして屋敷を後にされました。