紅芳記


御方様の許を下がり屋敷に戻ろうとしたとき、急に雨が降ってきてしまいました。

私は駕籠に乗っているため濡れはしませんが、このままでは家臣達が濡れてしまいます。

私は家臣たちに大丈夫か聞きました。

「奥方様、もう間もなく屋敷にございますゆえ、大事ございませぬ。」

「そうか、ならば頼む。
すまぬな。」

「いえ。」

そんな短い会話をしているうちに、屋敷に着いたようです。

…良かった。

私が駕籠から下りると、佐助がどこからともなくやって来ました。

「佐助、如何した。」

「は、屋敷の前に他家の駕籠が。
しばらく雨宿りしたいとのことにございます。」

「そうですか、ならば構いませぬと伝えよ。」

「御意。」

佐助はすぐに門の外に行きました。

私は屋敷に上がり、家臣達に休むよう伝えて部屋に戻りました。