紅芳記


「姉様、今のお江与は私達が何を言っても傷付きましょう。
そっとしておいたほうがよろしいのではないでしょうか。」

「じゃが…。」

「御方様、私も今は何もせぬのが一番と存じます。
時が癒してくれましょう。」

「…そうであるか。」

御方様は尚も心配そうにしていましたが、そっとしておくようにしようとお考えのご様子です。

「若様、お拾君様!」

突然、廊下から声がし、幼子が部屋に入って来てしまいました。

ぺたぺたと歩くそのお姿は何とも可愛らしい。

「拾、どうした?」

幼子は御方様の膝の上にちょこんと座ってしまいました。