それは朝方、夢の御方様が湯治からお帰りになってすぐのことでした。

戦の疲れを取って頂こうと私は大殿、殿、信繁殿と団欒しておりました。

「奥が何やら騒がしいの。」

「夢の御方様がお帰り故にございましょう。」

「そういえば、夢は湯治に行っておったそうじゃな。」

「はい。」

「夢殿が湯治…?
また不思議なことがおこりましたな、兄上。」

「不思議…。
どういうことです、源次郎殿。」

「夢殿は旅のようなことをするのがお嫌いな上に、大の風呂嫌いなのです。」

「うむ。
夢は湯治に行ったことなど一度もない。」

「小松、わしらがおらぬ間に何があった?」

殿にそう問われ、私は全てを正直に答えました。

すると、三人とも突然吹き出してしまわれたのです。

「あははははははは!!
そうかそうか!!!
夢を投げ飛ばしたか!!!!」

「あ、義姉上!!!
それは反則ですって!!!
ははははは!!」

「源三郎、そなた、まっこと面白い嫁を貰ったのう!!!
あーはっははっははっは!!!」

「あははははは!
お、俺腹痛くなってきた!」

「源次郎、そんなに笑っては…!
小松が可哀相であろう!
あははははは!!」

「兄上だって…!
笑ってるくせにっ!!
ははははは!!」

それから三人は私が何を言ってもしばらく笑い続けてしまわれました。