紅芳記


香登を夢の御方様のところへ使いに送ってしばらくして、香登が戻って参りました。

「如何であった。」

「明日の昼過ぎならば問題ないとのことにございます。」

「わかりました。
では明日、お伺い致そう。」

「奥方様、それは…。
あちらからお訪ね致されるのが道理というもの。
奥方様からあちらに参られましては、余りに…。」

「よい。
夢の御方様と話すことこそが先決じゃ。」

「奥方様…」

夢の御方様。

初めてお会いしたとき謙虚だったその姫に私はどういった態度を取れば良いのか。

そしてその姫は私になにを申されるのか。

私は気を引き締めました。