紅芳記


男が言った通り三つ先の部屋に人がおり、その者に平八郎を呼んで来てもらいました。

平八郎は話が着いたということで真田屋敷まで送ってくれると言いましたが、私も殿も馬で来たため二人だけで帰ることとなり、門まで見送りに来てくれました。

「平八郎、邪魔をしました。
くれぐれも体には気をつけて。」

「はい。
姉上も御達者で。」

「平八郎、すまなんだな。」

「いえ、義兄上。
姉上がご迷惑をおかけ致しました。」

「まぁ、なんですかその言い方は。」

「そうでございましょう。
義兄上、姉上にはお気をつけて。」

なんと失礼な言い方。

「そう致そう。」

殿も悪乗りをしてしまわれるし。

「それでは。」

「ああ、また。」

馬を走らせ、徳川屋敷を後にしました。