紅芳記


殿はゆっくりと私に近づかれ、ぎゅうっと抱きしめて下さいました。

そのまま唇が降る。

涙が一筋、流れます。

唇が離れ、真っすぐに見つめ合いました。

それなのに

「続きは屋敷で、の」

と殿は仰せになるのです。

また顔が真っ赤に染まっていきました。

「ははっ。
すぐに赤うなりおって。」

殿は悪戯っぽく、そして何故か嬉しそうにお笑いにらりました。