紅芳記


すると、おなみの父上は血相を変えて、平伏し、

「こ、これは大変失礼いたしました!
みすぼらしいところをお見せして…。
まさか、姫さまがいらっしゃるとは…!」

と言いました。

「いえ、私こそ、突然お邪魔してしまって…。」

「と、とんでもございません!」

「おなみを借りてもいいかしら?」

「も、もちろんでございます!
おなみ、くれぐれも姫さまに無礼の無いようにな!」

「わかってるわよ。」