紅芳記


ドカドカと地響きのような音がし、父上だとすぐに解りました。

父上は静かに歩けない方ですので。

しかし、それは間違いだったようです。

バンッと門を開け、出て来たのは父上ではなく平八郎でした。

父上がいらっしゃらないか、父上が出る幕ではないという考えで、門番は平八郎を呼んだのでしょう。

「姉上っ!!!
なにをお考えなのですか!!!
今すぐ真田屋敷にお戻りを!!!」

開口一番に怒鳴りつける平八郎はもうすっかり大人になっていました。

「ほ、本多様…」

門番も驚いています。

「この方は確かに私の姉でお屋形様の養女です。」

門番の誤解を解き、

「仕方がないのでとりあえず中へどうぞ。」

と通してくれました。