紅芳記


朝になり、馬に乗って出かけようとしていると、世都に見つかってしまいました。

「奥方様!
どちらへ参るおつもりですか!?」

まずい…。

「どこでもよいではないか。」

「よくありませぬ!
誰か!
誰か!!」

「世都っ!
静かにせよ!!」

「そういうわけには参りません。
本多の頃より奥方様は目を離すとなにをやりだすかわかりませぬゆえ!」

うっ…!

「義父上のもとにいく。
これで良いか。
邪魔をするな!」

「嫌でございます。
それに奥方様にはそろそろ沼田にお戻り頂かねばなりませぬ!」

「離せ、世都!
私は沼田に戻るつもりはない!」

「なっ!」

世都が唖然としたすきに、馬を走らせました。

「奥方様、どちらへ参るおつもりですか。」

門番に、世都と同じことを聞かれます。

「義父上のもとに。
お伺いの由は昨日伝えた。
門を開けよ。」

「は、ははぁ。」

門番が門を開けていると、

「なりませぬ!
門を開けてはなりませぬ!!」

と世都が走って来ました。

門番が動きを止めてしまったので

「なにをしておる!
早く開けよ!」

と命じました。