紅芳記


茶を立てるお姿も美しい淀の御方様。

聞いた話によれば、母君のお市の方様は、かの織田上総介様の妹姫様で、三国一、日ノ本一の美女であったとか。

初様もお美しいし…。

血筋の違い、でしょうか。

「そなたは変わったおなごよの。」

初様が再びそう仰せになります。

「どこが、でございましょうか。」

「世継ぎのない『ただの』側室の姉様を訪ねるなど、正気の沙汰ではない。
家にはなんの利益もない。
面倒なだけじゃ。」

「初、それは言い過ぎじゃ。」

「事実にございましょう。
私はなんでもはっきり申す性格ですから。」

「たしかに、そなたに隠し事も気遣いも無理じゃがの」

「姉様もお酷い言い方。」

「…気になったのです。」

笑い会うお二人に静かに申し上げました。