紅芳記


どうしよう…。

勢い任せに来たため、言葉が続きません。

淀の御方様もつんっとしてどうしたら良いのやら…。

「姉様、姉様っ!」

パタパタと走る音がして、一人の姫が部屋に入って来ました。

「これ、初!
静かにせぬか!
客も来ておるというに。」

「えっ!?」

初様と呼ばれた姫はこちらを見て驚かれました。

「今の姉様にお客様…。
貴女も変わり者だこと。」

どうやらはっきりとした性格のご様子です。

「これ!
そなたときたら…。
小松殿、すまぬな。
これは私の妹の初じゃ。」

「御方様の、妹君様…。」

「京極高次が妻、初じゃ。」

「真田安房守が嫡男信幸の妻、小松にございます…。」

「ほう、あの真田の。」

「初!
いい加減にせぬか。
小松殿に無礼であろう。
それに一体どうしたのじゃ、慌てて。」

あぁ、と初様は思い出したように淀の御方様に問われました。

「姉様、お江与を見かけませんでしたか?
城の中におらぬのです。」

「またあやつか。
お江与なら大方、城下であろう。」

「やはり…。
秀勝殿が朝鮮にいるというに、何をしておるのじゃ。」