紅芳記


「お辛かったのですね…。」

とても。

「そのようなことは…。」

「ございましょう。
だから私にお話くだされたのではないですか?
それに、貴女様のお顔を見れば解ります。」

「小松殿…。」

「先程申しましたように、私にも子がおりませぬ。
そればかりか、殿の御寵愛は側室のものでございます。
政所様のお気持ちは、痛いほど解るつもりでございます。」