紅芳記


「山手殿、小松殿。
こちらじゃ。」

「はい、ただ今。」

打掛の裾をさばいて部屋に入ると、数人の美しい方がいらっしゃいました。

政所様がお座りになり、私達も適当なところに座りました。

「北政所様、お早うござります。」

「お早うござりまする。」

奥方様達が政所様にご挨拶され、政所様も挨拶を帰されます。

「これなるは、真田安房守殿の嫡男信幸殿の奥方、小松殿じゃ。」

政所様が紹介してくださいましたので、私も一言、挨拶をしました。

「小松にござります。
何卒、よろしくお願い申しあげまする。」

頭を下げると、方々から「よろしくお願い致します」という声が聞こえました。