紅芳記


「母上を、ということであろう?」

「はい。
山手殿を。」

お母上様…?

あぁ、そういうことですか。

「儂は父上より真田家のことはほとんど任されておる。
任されてはおるが、父上はまだ隠居まではしておらぬ。
つまり家督はまだ父上のものじゃ。
故に、大名の妻子とは母上である。
母上と源四郎を上洛させればよいのじゃな。」

「全くその通りにございますれば。」

お母上様…。