昼過ぎ、なみ姫が何処かに行ってしまった、と侍女が慌てた様子で報告に来ました。
なみ姫、一体何処に行ったの?
私はなにを恐れていたのでしょうか、殿が夢の御方様の許に通われることと重なって思えてしまい、なみ姫までも私から離れていくようで侍女に探させながらも自ら城内を歩き回っておりました。
「殿!
殿はどちらに!?」
近くで家臣の慌てた声がしました。
「何事ですか、騒がしい。」
仲橋がその家臣に問います。
「こ、これは奥方様。
先程関白様の御使者と申す方が参られまして…。
しかしながら殿がいらっしゃいませんで探しておりました次第でございます。」
「関白様の?」
「は。」
関白様の御使者ならば殿に目通りしていただかなくてはなりません。
「殿は城下の屋敷にいらっしゃいましょう。
急ぎ使いを送りなさい。」
「城下の屋敷でございますか…。」
そう、夢の御方様の許ぞ…。
口には出しませんが頭の中でそう答えました。
家臣は複雑そうな顔をしましたが、すぐに近くの者を使いとして向かわせました。
「御使者はどちらに?
殿が来るまでの間、私が行きましょう。
大殿にはお伝えしたのか。」
「客間にてお待ちいただいております。
大殿には御使者がいらっしゃったとき、既にお伝えいたしました。
どうやら用向きは殿にございますようで、大殿は殿に任せると。」
「わかった。
では、参ろうか。」
「はっ。」


