紅芳記


それからというもの、殿のお渡りが幾日も続かないことが増えて参りました。

私は身を裂かれる思いでしたが見て見ぬ振りをしておりました。

殿は恐らくは───、いえ間違いなく夢の御方様のところ。

もう嫉妬で狂いそうになどならなくなってきた…。

ただただ時間だけが過ぎていく。