紅芳記


殿は強く強く抱きしめてくださり、私も抱きしめ返しました。

目が合って、恥ずかしくて顔を背けてしまいました。

殿は抱きしめてくださっていた手を離し、私の顔を両手で挟んで向きを戻してしまわれました。

「目を見よ。」

そう、優しく仰せられます。

「なんだか恥ずかしくて…。」

消え入りそうな声で答えると、ケラケラと笑ってしまわれました。

そしてそのまま組み敷かれます。

びくっとして、また顔が赤くなります。

またぎゅうっと抱きしめられ耳元で

「覚悟しておれ、と言うたはずじゃが?」

と悪戯っぽく仰せられました。

心の臓がバクバクと音をたて、もうどうして良いかわからず、殿に身を預けました…。