紅芳記


「兄上はいつまでも子供だ。」

信繁殿も可笑しかったのか、ゲラゲラ笑います。

その様子を見ていた昌親殿も、つられて笑いました。

「こらっ!
笑うでないわ。」

殿はますます拗ねてしまわれて、どかっと御席に座りました。

「お、もう皆揃っておったか。」

と、大殿が御前様とゆっくりやって来ました。

その腕には殿の一番下の弟の源四郎殿がいらっしゃいました。

「なんじゃ、源三郎。
なにを拗ねておる。」

大殿もすぐに殿が拗ねてしまわれたのを気づき、大笑いしています。

「あなた、源三郎が可哀相でしょう。
皆も。」

お母上様は殿をお庇いになりますが、殿はそれを聞いて

「母上っ!
私は拗ねてなどおりません!」

と言いました。

「どこがじゃ、源三郎。
そなたも修行が足りぬの。」

大殿は殿を馬鹿にしたように言って、またゲラゲラと大笑いしてしまわれました。

それにつられて、お母上様も信繁殿も、昌親殿も、源四郎殿も、かくいう私も、更には家臣たちまでもが大笑いしました。

「なんじゃっ!
笑うな!!」

殿だけは、顔を真っ赤にしておりました。