「…縁談、で、ございますか?」 屋敷にこっそり戻ると、すぐに父上に呼ばれました。 一人で抜け出しているのがばれて叱られると思って父上の部屋に行きましたが、どうやらよい縁談があるようです。 「左様。 そなたももう嫁に言ってもよい歳じゃ。」 「して、そのお相手は? 徳川家中のかたですか?」 父上は徳川の家臣、その娘の私は、ほかの徳川家中の方に嫁ぐものと思っておりました。