「あ、に、う、え!
まだですかー?
義姉上と戯れるのは後にして下さいよ。」
信繁殿がずけずけと部屋に入って来ました。
「良いではないか。
四ヶ月ぶりなのじゃぞ。」
「いいから!
もう宴が始まりますよ?」
「…仕方ない。
小松、参ろう。」
「はい。」
「全く。
兄上ときたら。」
「源次郎、お前、もっと空気を読め。
空気を。」
「無理です。
俺はこれだけが特技なもので。」
信繁殿は豪快に笑って一人で先に行ってしまわれました。
「なんなのじゃ。
あやつは。」
「さぁ。
きっと兄上様を私が独り占めするのがお嫌なのでは?」
なんだかんだ言っても真田家の兄弟は皆仲がよろしいですから。
「それはない、それは。」
殿は照れ臭そうにそっぽをむかれました。


