紅芳記


無論、殿は驚かれましたが、すぐに優しく微笑んで下さいました。

「殿、お顔が真っ赤。」

私が笑うと、殿はムッとして

「小松も真っ赤じゃ。」

と悪態を吐きます。

子供みたいだわ。

また私が笑ったので、殿は拗ねてしまわれました。

「殿?
…きゃっ。」

いきなり抱き着かれてびっくりする私の耳元で

「今宵は覚悟しておれ。」

と囁かれました。

心臓がものすごく速く鼓動を打ち、顔は火の如く熱い。

「小松のほうが真っ赤じゃ。」

離れてからすぐにお腹を抱えて笑ってしまいました。

「殿の意地悪。」

また二人でケラケラ笑います。