紅芳記


「明日じゃ。」

「承知しております。」

「これが、名実共に最後の大戦じゃ。」

「伊達は…。
奥州の、独眼竜は?
まだ、あの方がおりますれば。」

「伊達の藤次郎(政宗)は動かぬ。
小田原に援軍を出す義も、利もない。
そして、二十万の軍勢との戦を目の当たりにすれば、必ずや豊臣に屈しよう。」

殿の仰せはご尤もです。

いくら奥州の独眼竜とうたわれる伊達であろうと、二十万の豊臣軍と戦うのは、その身を滅ぼすことにもなりかねず、まして小田原に組するなどありえぬこと。

そして無用の戦をさけるべく、関白殿下は必ずや伊達に参陣を命じる。

どう動くかは伊達次第、しかし戦をするには部が悪くきっといつかは豊臣に降る。

つまり、天下を争う戦はこの小田原攻めが、最後。