紅芳記


「早く殿の御子がほしい…。」

私はつい、声に出してしまいました。

殿には聞こえたのでしょうか。

聞こえたらと思うと、恥ずかしくて恥ずかしくて下を向いてしまいます。

「こ、小松?」

殿は明らかに動揺されています。

聞こえてしまったのね…。

なんと恥ずかしい…。

「今申したことは、まことか。」

はい。

そう答えたいのに、恥ずかしくて声がなかなかでません。

「………はい。」

消え入りそうな声で答えました。