紅芳記


それから、右京殿といろいろ話ました。

右京殿の父上の玉川殿のことやこの沼田城下のこと、私の父上や義父上のことなどを話しました。

右京殿はとても気さくで馴染みやすく、とても恋敵とだけに見れません。

そうした時間はあっという間にすぎ、そろそろ右京殿がお部屋に帰るだろうという頃、突然私の部屋になみ姫が来ました。

「なみ姫、だめじゃない。
また勝手に。」

私が注意するのを聞いてか聞かずか、そのまま右京殿のお膝元に座ってしまいました。

「まぁ、この猫は奥方さまの…」

「えぇ、すぐにうろちょろとしてしまっての。」

「ですが、可愛らしい猫にございますね。」

「なみ姫というのじゃ。
人見知りなど知らぬでな。
よう懐いておられる。」

「実は私も猫を飼っておりまして。」

「まことか?」

「はい。」

つい、猫の話しで盛り上がり、すっかり日が暮れてしまいました。