紅芳記


「会いに行かれますか?」

侍女の一人が言いました。

「そのような…。」

ふじは呆れたような声で侍女をたしなめましたが、

「それは良いの。
是非そうしたい。
右京殿にその由を伝えよ。」

「奥方さまっ!」

「ふじ、そう怒るでない。
これを機にあちらと仲良く出来るやも知れぬではないか。」

「されど…。」

「奈多、明日にでも伺いたいと伝えてきて。」

「はい。」

ふじの反対を押し切り、奈多という侍女に右京殿のところへ行かせました。