紅芳記


昼頃、侍女達と談笑していると、殿が訪ねていらっしゃいました。

「小松、昨夜のことじゃが…。」

「何でございますか?」

「酒を飲み過ぎてしもうてな。
酔っていたせいで、なにも覚えておらぬのじゃ。」

「まぁ…。」

「粗相をしてしもうてはおらぬか?」

「いえ、なにも。
あのように可愛らしい殿は初めてでしたわ。」

「なっ…。
可愛らしいなど…。」

殿のお顔が真っ赤になりました。

やはり殿はお可愛らしい。

「冗談です。」

私は笑いながら言いました。