ドキ。 私の名前を呼ばれたわけじゃないのに、 なぜか全身が震えた。 アイツがいる。 「あ、西野。おはよー」 水稀は上を見上げ、 アイツに手を振る。 一緒になってわたしも見ると、 身を乗り出してコッチを見ている、 アイツの姿があった。 ドキ。 また胸が高鳴る。 大きな嬉しさと、 大きな怖さが入り混じった感覚…。 アイツ。 西野梓がいる。